厚生労働省の介護保険最新情報Vol.1511では、市町村・地域包括支援センターにおける災害等に備えた平時からの体制整備ハンドブックなどが周知されました。介護事業所に新しい義務を追加する通知ではありませんが、災害BCPを「紙の計画」で終わらせず、地域の連絡先や優先業務とつなげて見直すきっかけになります。
介護現場の災害BCP見直し|地域包括とつながる平時の確認の結論
介護保険最新情報Vol.1511を踏まえ、介護現場が災害BCPを平時から見直すための連絡先、優先業務、地域連携、記録共有のポイントを整理します。
- Vol.1511は自治体や地域包括支援センター向け資料の周知が中心で、介護事業所に新たな届出や加算要件を直接示すものではありません。
- それでも、災害時の高齢者支援は事業所単独で完結しにくいため、平時から地域包括支援センター、自治体、家族、関係事業所との連絡先を確認しておく価値があります。
- BCPは「作成済み」で終わらせず、優先するケア、安否確認、職員参集、記録と申し送りを実際に使える形へ落とし込みます。
1何が話題になっているか
厚生労働省は令和8年6月15日付の介護保険最新情報Vol.1511として、地域づくり支援ハンドブックVol.3、災害等に備えた平時からの体制整備に向けたハンドブック、家族介護者支援の取組事例集を周知しました。このうち災害対応の資料では、市町村と地域包括支援センターが平時から認識合わせや対話を行い、災害時にも高齢者等を支え続ける体制を整える考え方が示されています。
介護事業所にとって大切なのは、これを「自治体向けの資料だから関係ない」と切り分けないことです。地震や豪雨などの場面では、利用者の安否確認、サービス継続、家族連絡、避難先や医療とのつなぎが、事業所単独では完結しにくくなります。
公式周知
利用者も職員も安心できるよう、動作と環境を整えます。
災害BCP
利用者も職員も安心できるよう、動作と環境を整えます。
地域連携
利用者も職員も安心できるよう、動作と環境を整えます。
2介護現場に関係するポイント
Vol.1511そのものは、介護報酬や人員基準を変更する通知ではありません。新しい加算対応や届出を急ぐ話としてではなく、既に作成しているBCPが実際の連絡、判断、記録に使えるかを見直す材料として読むのが現実的です。
特に確認したいのは、災害時に誰へ連絡するか、誰の安否を優先して確認するか、どのケアを止めずに続けるか、職員が出勤できないときにどう役割を切り替えるかです。地域包括支援センターや自治体との関係は、災害が起きてから初めて探すのでは間に合いません。
3職場で確認したいこと
まず、連絡先一覧を更新します。管理者、職員、利用者家族、担当ケアマネジャー、地域包括支援センター、自治体窓口、協力医療機関、近隣事業所などを、誰が、どの順番で、どの手段で確認するかまで決めます。電話だけでなく、停電や通信障害が起きたときの代替手段も話し合います。
次に、優先業務を具体化します。「利用者の安全を守る」だけでは現場で迷います。食事、水分、排泄、服薬、医療的ケア、独居や認知症のある利用者の安否確認など、施設やサービス種別ごとに優先順位を短く書き出します。
4地域包括とのつながりを平時に作る
地域包括支援センターは、災害時に地域の状況把握や支援の調整に関わる重要な窓口の一つです。ただし、災害時の役割や連絡方法は地域によって違います。事業所側からも、平時の会議、ケア会議、連絡調整の場で「災害時はどこへ、何を、どの形式で共有するか」を確認しておくと、実際の混乱を減らせます。
たとえば、独居で支援が途切れやすい利用者、家族も高齢の世帯、医療依存度が高い人、避難に支援が必要な人などは、事業所内の情報だけで抱え込まず、本人同意や個人情報の取り扱いに配慮しながら、関係者と共有できる範囲を整理します。
5誤解しやすい点
BCPは、立派な冊子を作ること自体が目的ではありません。職員が読まない計画、連絡先が古い表、訓練で一度も使わない手順では、災害時に役立ちにくくなります。まずは1ページの連絡フローや、優先業務の短いチェック表から使える形にします。
また、地域連携は「地域包括に任せる」という意味ではありません。事業所は自分たちの利用者、職員、サービス継続の情報を持っています。地域包括や自治体は地域全体の調整に関わります。それぞれの役割を混同せず、必要な情報を渡せる状態にしておくことが大切です。
6記録・申し送り・チーム共有へのつなげ方
災害BCPの見直しは、日々の記録と申し送りにもつながります。安否確認が必要な利用者、停電時に困る機器、家族連絡の注意点、避難に時間がかかる理由などは、平時からチームで同じ見方ができるようにしておきます。
訓練や机上確認をした後は、「想定した災害」「確認した連絡先」「判断に迷った点」「次回までに直すこと」を短く残します。災害対応は一度で完成しないため、記録を改善の材料として積み重ねることが重要です。
7まとめ
介護保険最新情報Vol.1511は、災害時の地域全体の支援体制を考える資料を周知したものです。介護現場では、これをきっかけに、連絡先、優先業務、地域包括支援センターとのつながり、記録と申し送りを見直すと、BCPを実際に動く計画へ近づけられます。
8よくある失敗と対策
BCPを作成済みとして棚に置いたままにする
連絡先、優先業務、職員参集、安否確認を定期的に更新します。
災害時の連絡先が個人の記憶に頼っている
管理者不在でも使える一覧にし、地域包括支援センターや自治体窓口も確認します。
すべての業務を平時どおり続けようとする
利用者の安全に直結するケアを優先し、後回しにできる業務も決めておきます。
訓練や確認の結果を残さない
迷った点と次に直すことを短く記録し、申し送りや会議で共有します。
9よくある質問
介護保険最新情報Vol.1511で介護事業所に新しい義務が増えましたか?
今回の通知は、市町村や地域包括支援センター向けのハンドブック等の周知が中心です。事業所に新しい届出を求める内容として受け止めるのではなく、既存のBCPや連携体制を見直す材料として扱います。
まず何から確認すればよいですか?
災害時の連絡先、優先して継続するケア、安否確認の対象、職員の参集可否、地域包括支援センターや自治体との連絡方法を、最新の情報に更新します。
訓練まで行う時間が取れない場合はどうしますか?
最初は短時間の机上確認でも構いません。1つの災害想定、1つの時間帯、1人の利用者ケースを選び、連絡と判断の流れをチームで確認します。



