申し送りは「何を伝えるか」よりも「どの順番で伝えるか」で伝わり方が変わります。この記事では、場面別にそのまま使える申し送りの例文と、事実・対応・次の確認点をそろえる書き方の型を紹介します。表現の言い換えは関連記事に譲り、ここでは型と例文に絞って整理します。

この記事の要点

申し送りの例文とテンプレート|そのまま使える書き方の型の結論

介護現場の申し送りにそのまま使える例文と書き方の型を場面別に紹介します。事実・対応・次の確認点の順で組み立てる基本テンプレートつきです。

  • 申し送りは「事実 → 実施した対応 → 本人の反応 → 次に確認してほしいこと」の順で組み立てると抜け漏れが減ります。
  • 時間・場面・数量を入れた例文の型を職場で共有すると、経験年数によらず同じ水準の申し送りになります。
  • 観察した事実と報告・対応の経過を書きます。緊急性のある変化は申し送りを待たず報告し、継続して確認する事項を引き継ぎます。

1申し送りの基本テンプレート

申し送りは、次にケアを担当する職員が安全に動けるようにするための情報共有です。伝える内容を「事実 → 実施した対応 → 本人の反応 → 次に確認してほしいこと」の順に組み立てると、聞き手が状況を再現しやすくなります。

本記事の型と例文は、公的資料の記録原則を参考に編集部が作成した架空の記入例です。時刻・数値・発言・対応は実際に確認した内容に置き換え、行っていない観察・介助・報告や受けていない指示を記録しないでください。

緊急性のある体調変化では申し送りの時刻を待たず、施設の緊急時手順に沿って看護職・医師等へ連絡し、必要な対応を優先します。次勤務者へは、報告済みの内容と継続して確認する事項を引き継ぎます。

例えば「14時頃、歩行時にふらつきあり(事実)。転倒はなく、以後は見守りを強化(対応)。本人は『大丈夫』と話すが表情は硬い(反応)。夜間のトイレ移動時は付き添いをお願いします(次の確認点)」という形です。

事実を具体的に書く

対応と反応をセットで残す

次の確認点で締める

2場面別の例文:食事・水分

「昼食は主食7割、副食5割、水分150ml。むせ込みはありませんでした。夕食時も一口量を小さめにして様子を見てください」

「朝食後半で疲れが見え、途中から介助に切り替えました。摂取量は普段の半分程度です。昼食時の覚醒状態と摂取量の確認をお願いします」

数量(何割・何ml)と、次の食事で見てほしい点を入れるのがポイントです。

3場面別の例文:痛み・体調変化

「14時、本人から『右膝が痛い』との訴え。〔観察した具体的な様子〕を確認。14時05分に〔報告先〕へ報告し、〔確認した方針〕に沿って〔実施した対応〕。対応後は〔本人の反応〕。次の確認は〔時刻・項目・担当者〕」

「17時、体温〔測定値〕℃。普段の体温は〔通常値〕℃。本人の訴えと、呼吸・食事・水分摂取等で確認した変化は〔具体的な内容〕。〔時刻〕に〔報告先〕へ報告し、再確認の時刻・項目は〔実際に確認した方針〕。対応後の状態は〔確認した様子〕」

〔 〕内は実際の内容に置き換える記入欄です。痛みが続くまで報告を待ったり、体温の数値だけで次の検温まで待てると判断したりするための例ではありません。普段との差を確認して施設の連絡手順に沿って報告し、報告した時刻・相手、受けた指示や確認した方針、実施した対応とその後の状態を残します。

4場面別の例文:気分・行動の変化

「夕方に不安そうな表情で廊下を行き来されていました。お茶に誘って一緒に過ごした後は落ち着いています。夕食後に同じ様子があれば、無理に居室へ促さず声かけからお願いします」

気分や行動の変化は、本人への評価(「不穏」「わがまま」など)ではなく、見えた様子と落ち着いたきっかけを書きます。うまくいった関わり方こそ、チームで再現できるように残します。

5書いてはいけない申し送りと直し方

「少し元気がない」「いつもより変」だけでは、次の職員は何を見ればよいかわかりません。いつ、どの場面で、どのような様子だったかまで書きます。

記録に残す表現の詳しい言い換え(NG表現→事実ベースの書き方)は、介護記録のNG表現と言い換えで整理しています。夜勤帯特有の観察と引き継ぎは夜勤帯の申し送りを参照してください。

6まとめ

申し送りの質は、文章力ではなく「型」で決まります。事実・対応・反応・次の確認点の4点セットと場面別の例文を職場で共有すれば、経験年数に関係なく、抜け漏れの少ない引き継ぎができるようになります。

7よくある失敗と対策

よくある失敗対策
印象だけの申し送りになる(「元気がない」など)いつ、どの場面で、どのような様子かを数量や具体的な行動で伝えます。
対応した内容だけ伝えて、その後の反応が抜ける「対応→本人の反応」をセットで残し、効果があったかを共有します。
次の勤務者が何をすればよいか分からない最後に「次に確認してほしいこと」を一文で明示します。
全利用者を同じ分量で申し送り、重要な変化が埋もれる状態変化・安全上の注意を先に伝え、変わりない方は簡潔にまとめます。

8よくある質問

申し送りの基本の型はありますか?

「いつ・どの場面で(事実)→ どう対応したか → 本人の反応 → 次の勤務者に確認してほしいこと」の4点セットが基本です。この順番で一人ひとりの変化を短く伝えると、聞き手が動きやすくなります。

申し送りが長くなってしまいます。どこを削ればよいですか?

いつも通りだった内容の詳細は記録に残し、口頭では「状態変化」「安全上の注意」「次の確認点」を優先します。変化がない利用者は「変わりなし」とまとめて構いません。

例文をそのまま使ってもよいですか?

例文は編集部が作成した架空の記入例です。型を参考にし、時間・数量・様子・対応は必ずその日の事実に置き換えてください。行っていない観察・介助・報告や、受けていない指示は記録しません。

参考・出典