ヒヤリハットを職場で共有するときは、観察した事実、実施した対応、未確認事項を分けます。2026年10月21日に示された事故報告様式の見直し案と、自治体への現行の報告を区別しながら、申し送りや再発防止の検討に使うメモの書き方を整理します。
ヒヤリハット報告|事故予防に使う共有メモの結論
ヒヤリハットの事実・対応・未確認事項を分ける書き方と、自治体への事故報告の確認点を整理します。2026年10月の様式見直し案と2027年4月頃のシステム稼働予定を、現行の報告ルールと区別して説明します。
- 2026年10月21日の通知では、事故情報報告システムは2027年4月頃の稼働予定です。様式は調整中の案であり、現在の報告先・方法は自治体の案内で確認します。
- ヒヤリハット報告は職員のミス探しではなく、いつ、どこで、何が起きかけたかを残す記録です。観察した事実と、原因として考えられる要因・未確認事項を分けます。
- 共有メモには実施した対応、未完了の連絡、次の確認担当と時期を残します。危険が続く場合は、次の申し送りや会議を待たず対応します。
1安全確保と連絡を先に行う
記入より先に利用者の安全を確保し、事故や急な体調変化がある場合は施設の手順に沿って必要な対応と看護職・管理者等への報告を行います。この記事の共有メモは、自治体への事故報告や家族等への連絡に代わるものではありません。対象・報告先・期限は、該当するサービスと自治体のルールを確認します。
2026年8月28日の第263回社会保障審議会介護給付費分科会では、令和9年度介護報酬改定に向けて、介護現場における安全性の確保やリスクマネジメントが議題になりました。資料3では、事故発生時の連絡、必要な措置、事故状況と処置の記録などが確認されています。
この記事で扱うのは、制度上の結論ではなく、現場で今日から整えられる記録の型です。ヒヤリハットを「誰が悪かったか」で止めず、同じ場面を減らす共有メモに変えることが目的です。
責任追及にしない
状況を再現する
次の対策へつなぐ
2自治体への事故報告を別に確認する
職場内のヒヤリハット共有と、自治体へ提出する事故報告は、対象や提出先を分けて確認します。管理者と、該当サービスの報告対象、第一報の期限、電話連絡の要否、提出方法を確かめてください。原因や再発防止策がすべて確定するまで、必要な第一報を保留しないことが大切です。
自治体の運用例として、横浜市は電子申請で速やかに第一報を提出し、必要に応じて経過を報告する流れを案内しています。事故処理に区切りがついた時点では本報告を提出します。居宅・密着サービスと施設サービスでは報告フォームも異なります。これは横浜市の案内です。自分の職場では提出先の自治体の最新案内を確認し、同じフォームや手順が全国共通だと考えないでください。
3ヒヤリハットに残す基本項目
残したいのは、日時、場所、場面、利用者の状態、職員の動き、環境、直後の対応です。以下は編集部が作成した架空の記入例です。時刻・発言・状態・対応は実際に確認した内容に置き換え、行っていない観察・介助・報告を記録しないでください。
「15時10分、食堂入口。歩行中の利用者のつま先がマットの端にかかり、職員が体を支え、転倒には至らなかった。マットの端がめくれているのを確認。安全確保後の本人の状態は〔確認した内容〕。〔時刻〕に〔報告先〕へ報告し、〔実施した対応〕」のように、観察と対応の経過を分けて残します。
「危なかった」「注意不足だった」だけでは再発防止に使いにくくなります。起きかけたこと、実施した対応、原因として考えられる要因を分け、見ていない場面や未確認の原因は推測と明示します。車いすや動線の確認は、車椅子送迎の安全確認や転倒予防チェックとも合わせて見ると整理しやすくなります。
4原因は一つに決めつけない
ヒヤリハットの原因を「本人が急に動いた」「職員が見ていなかった」と一文で決めると、次の対策が細くなります。本人の体調、居室や廊下の配置、物品の置き場、時間帯の忙しさ、声かけの順番、記録の共有漏れなど、複数の要因として見直します。
個人の性格や能力を原因と決めつけず、本人・職員・環境それぞれの情報を確認します。「マットの端がめくれていた」は観察した事実、「めくれがつまずきに関係した可能性がある」は原因についての解釈です。根拠と未確認事項を添え、チームで検討します。
5申し送りでは次に見る場所を伝える
申し送りでは、報告書の全文を読み上げるより、次勤務者がすぐ見る場所を絞ります。「居室入口のマットがめくれやすい」「夕食前は立ち上がりが増える」「薬箱の同姓利用者ラベルを再確認する」など、行動につながる形で伝えます。
対策や連絡が未完了なら、現在の状態と次の担当者を残します。「管理者へ連絡済み・回答待ち」「業者への相談は未実施」「家族へ電話したがつながらず」など、連絡の実施と結果を分けます。危険が続く場合は回答待ちのままにせず、職場の手順に沿って必要な対応を行います。記録表現は介護記録のNG表現と言い換えも参照してください。
6小さな改善を一つ決めて期限を置く
共有メモには、管理者や関係職種と確認した対策を、担当者とともに残します。物品配置や申し送りの確認欄など、見直す範囲を具体化します。巡回や介助方法を変える場合も、本人の状態と個別計画、職場の手順を確認し、例文だけを根拠に変更しません。
対策を実施した後は、管理者や関係職種と確認した時期に有効性を見直します。メモには「〔担当者〕が〔日時・場面〕に〔確認項目〕を確認する」と残します。これは編集部の記入用の型であり、一律の待機期間ではありません。危険の継続や状態の変化には、予定した確認日を待たず対応します。
72026年10月の様式見直し案と稼働予定
厚生労働省の介護保険最新情報Vol.1548(2026年10月21日)は、「介護現場における事故情報報告システム」を介護サービス情報公表システムのサブシステムとして構築し、2027年4月頃から稼働する予定としています。通知に添付された報告様式は、内容を調整中の見直し案です。稼働後に入力フォームへ反映する予定として示されており、現時点で一斉に切り替える確定様式とは扱いません。
職場では、今使う自治体の様式・提出先と、今後の準備用に受け取った案を分けて管理します。管理者の確認メモには、通知日、資料名、案か確定か、適用時期、次に確認する窓口を残すと整理できます。案の公表だけを理由に現在の報告を止めたり、未公表の操作方法や開始日を決めつけたりしないでください。
8まとめ
ヒヤリハット報告は、書類を増やすためではなく、同じ危険を減らすための共有メモです。事実、環境、直後の対応、次に見る場所、未完了の確認を分けて残すと、申し送りにも会議にも使いやすくなります。
記事末尾のヒヤリハット記録テンプレートは、発生日・時間・場所・状況・要因・対応・再発防止策・記録者の8列を持つ空欄のCSVです。記入例や自治体への送信機能はありません。職場の保存・閲覧ルールに従って利用し、正式な事故報告や緊急連絡は別途行います。
9よくある失敗と対策
| よくある失敗 | 対策 |
|---|---|
| 「職員の不注意」で終わらせる | 時間、場所、環境、手順を確認し、観察した事実と原因の推測を分ける |
| 共有メモだけで自治体への報告も済んだと考える | 正式な報告の対象・提出先・期限・方法を確認し、提出状況と職場内の共有を分ける |
| 対策が大きすぎて続かない | 管理者や関係職種と具体的な改善範囲・担当者を確認し、個別計画や手順と整合させる |
| 対策の確認を次回会議まで保留する | 危険が続く場合は直ちに対応し、対策の見直しは担当者・日時・確認項目を決めて行う |
10よくある質問
2026年10月の事故報告様式案へ今すぐ切り替えますか?
介護保険最新情報Vol.1548では、事故情報報告システムは2027年4月頃の稼働予定で、様式も調整中の案です。現在の報告は提出先自治体の案内に従い、切替時期や方法は今後の確定した通知で確認します。
ヒヤリハットは事故が起きていなくても書く必要がありますか?
事故にならなかった出来事でも、転倒しかけた、薬を取り違えそうになった、送迎中に固定が緩みそうだったなど、同じ状況が再び起きる可能性がある場合は職場ルールに沿って記録します。
ヒヤリハット報告に職員名を書いてよいですか?
職場の様式に従いますが、再発防止で重要なのは個人評価ではなく状況、環境、手順、確認不足、連絡経路です。必要最小限の事実に絞り、責める表現を避けます。
ヒヤリハットを申し送りで伝えるときの優先順位は何ですか?
危険が続いている場合や事故が起きた場合は、申し送りを待たず安全確保と施設の手順に沿った報告・対応を優先します。そのうえで、次の勤務でも注意する場所、時間帯、本人の状態、実施した対応、未確認の対策を伝えます。



